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非破壊検査とは?種類・方法・メリットなどを簡単に解説

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非破壊検査とは?種類・方法・メリットなどを簡単に解説

製造業における品質管理において、製品を壊さずに内部欠陥や表面の不具合を検出する「非破壊検査」は、今や欠かせない技術となっています。しかし、非破壊検査にはさまざまな種類があり、それぞれの特徴や適用場面を正しく理解することが重要です。

本記事では、非破壊検査の基礎知識から具体的な検査方法、導入メリットまで解説します。品質保証体制の強化や検査工程の効率化を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

 

非破壊検査とは

まずはじめに、非破壊検査についての基礎知識を解説します。

非破壊検査の定義

非破壊検査(ひはかいけんさ)とは、対象となる製品や構造物を物理的に破壊することなく、その内部や表面に存在する欠陥、劣化、あるいは材質の状態などを調べる検査技術の総称です。この検査方法では、対象物の機能や性能を損なうことなく、その健全性を評価することが可能です。

自動車部品、航空機、橋梁、発電設備、電子機器など、多岐にわたる産業分野で品質保証や安全確保のために不可欠な技術として活用されています。

非破壊検査の目的

非破壊検査の主な目的は、製品や構造物の品質、安全性、信頼性を確保することにあります。具体的には、製造工程で発生した欠陥や、使用中に生じた劣化を早期に発見し、重大な事故や故障を未然に防ぐことが挙げられます。

また、製品の寿命予測やメンテナンス計画の最適化、さらには製品設計へのフィードバックを通じて、より高品質な製品開発に貢献することも重要な目的です。これにより、企業のブランドイメージ向上や長期的なコスト削減にも繋がります。

破壊検査との違い

検査方法には、非破壊検査の他に「破壊検査」があります。破壊検査は、対象物を実際に破壊し、その強度、耐久性、変形特性などを直接測定する検査方法です。例えば、引張試験や衝撃試験などがこれにあたります。

これに対し、非破壊検査は対象物を破壊しないため、検査後の製品をそのまま使用できる点が最大の違いです。破壊検査が製品のサンプルを用いて行われることが多いのに対し、非破壊検査は全数検査が可能であり、製造ラインへの組み込みも容易です。これにより、生産コストを抑えつつ、製品全体の品質レベルを高く維持することが可能になります。

非破壊検査の種類と方法

続いて、非破壊検査の具体的な種類とやり方について解説します。

超音波探傷検査(UT)

超音波探傷検査(Ultrasonic Testing)は、材料の内部に超音波を送り込み、その反射波や透過波の変化を分析することで、内部のきずや空洞、異物などの欠陥を検出する非破壊検査方法です。主に金属材料の溶接部や鋳造品、鍛造品、複合材料などの検査に用いられ、欠陥の位置や深さ、大きさを高い精度で特定できる特徴があります。

放射線透過検査(RT)

放射線透過検査(Radiographic Testing)は、X線やガンマ線などの放射線を検査対象物に透過させ、その透過画像をフィルムやデジタル検出器で記録・分析することで、内部の欠陥を検出する方法です。欠陥部では放射線の透過量が異なるため、画像に影として現れ、溶接部のブローホールやスラグ、鋳造品のひけ巣、異物などを視覚的に確認できます。内部欠陥の形状や大きさを把握しやすいのが特長です。

磁粉探傷検査(MT)

磁粉探傷検査(Magnetic Particle Testing)は、強磁性体(鉄や鋼など)の表面や表面直下の欠陥を検出するのに適した方法です。検査対象物に磁場を発生させ、その表面に磁粉(磁性体の微粒子)を散布すると、欠陥部で磁力線が漏洩し、磁粉が吸着して欠陥の形状を可視化します。比較的簡便な操作で、目に見えない微細な表面きずを高感度で検出できるのが大きなメリットです。

浸透探傷検査(PT)

浸透探傷検査(Penetrant Testing)は、材料の種類を問わず、表面に開口している微細な欠陥を検出するために用いられます。検査対象物の表面に浸透液を塗布し、毛細管現象によって欠陥内部に浸透させます。その後、表面の余分な浸透液を除去し、現像液を塗布すると、欠陥内部から浸透液が吸い出され、欠陥が鮮明に指示模様として現れます。非磁性体や非導電性材料にも適用でき、簡便で低コストな検査方法として広く利用されています。

目視検査(VT)

目視検査(Visual Testing)は、検査対象物の表面を目で直接、またはルーペ、内視鏡、工業用顕微鏡などの光学機器を用いて観察し、きず、変形、色調変化、異物の付着といった欠陥や異常を検出する最も基本的な非破壊検査方法です。他の非破壊検査の前処理として実施されることも多く、欠陥の初期発見や最終的な品質確認に不可欠な検査です。

非破壊検査のメリット

製品を損傷せずに検査できる

非破壊検査の最大のメリットは、検査対象となる製品や構造物を破壊したり、加工したりすることなく、その内部や表面の欠陥、劣化状態を調べられる点です。これにより、高価な部品や一点ものの製品、さらには稼働中の設備やインフラなども、その価値を損なわずに検査し、品質や安全性を保証することが可能になります。破壊検査では確認できなかった、製品の再利用や継続使用の可否判断にも役立ちます。

製品を損傷せずに検査できる

製品を傷つけずに検査できる特性は、全数検査の実現を可能にします。抜き取り検査では見逃されがちな、ごく一部の不良品や欠陥も、非破壊検査であればすべての製品に対して検査を実施し、検出することができます。これにより、製品全体の品質保証レベルを大幅に向上させ、不良品の市場流出リスクを低減し、顧客からの信頼獲得に貢献します。

生産ラインへの組み込みが可能

多くの非破壊検査技術は、自動化や高速化が可能です。そのため、製造工程の途中に検査装置を組み込む「インライン検査」として導入することができます。生産ラインを停止させることなく、製品が次々と流れてくる中で検査を実施できるため、生産効率を落とすことなく品質管理体制を強化できます。これにより、製造プロセスのボトルネックを解消し、スムーズな生産活動を維持することが可能です。

リアルタイムでの品質管理

生産ラインに組み込まれた非破壊検査装置は、製品の欠陥や異常をリアルタイムで検知できます。これにより、不良品の発生を早期に発見し、迅速に製造工程にフィードバックして改善策を講じることが可能です。リアルタイムでの品質データは、製造プロセスの最適化や品質基準の見直しにも役立ち、常に高い品質を維持するための基盤となります。

長期的なコスト削減

非破壊検査の導入は、初期費用がかかる場合もありますが、長期的には大きなコスト削減に繋がります。不良品の早期発見は、後工程での手直し費用や廃棄コストを削減し、市場への不良品流出によるクレーム対応、リコール、ブランドイメージ低下といった甚大な損害を未然に防ぎます。また、設備の寿命延長やメンテナンスサイクルの最適化にも寄与し、全体的な運用コストの削減に貢献します。

印刷検査装置による非破壊検査

印刷検査装置とは

印刷検査装置は、製品に印刷された文字、図柄、バーコードなどの品質を、対象物を破壊することなく検査する装置です。これは非破壊検査の一種であり、主に製造工程における品質管理に用いられます。インクのかすれ、にじみ、色ムラ、汚れ、キズ、異物混入、文字や記号の欠損、バーコードやQRコードの読み取り不良など、多岐にわたる印刷不良を高精度に検出します。

画像処理技術を用いた検査

印刷検査装置の核となるのは、高度な画像処理技術です。高精細な産業用カメラで印刷物を撮影し、その画像を専用のソフトウェアで解析します。具体的には、事前に登録された良品の基準画像と検査対象の画像を比較し、ピクセル単位での色差、輝度、パターンマッチングなどを用いて異常を検出します。これにより、人間の目では見落としがちな微細な欠陥や、客観的な判断が難しい不良も定量的に評価し、高精度な品質保証を実現します。

リアルタイム検査の実現

多くの印刷検査装置は、生産ラインに組み込まれ、印刷工程中にリアルタイムで検査を行います。高速な画像取り込みと処理能力により、印刷物の生産速度に合わせて連続的に検査を実行できます。これにより、不良品が後工程に流れるのを防ぎ、問題発生時に即座に生産ラインにフィードバックして調整を行うことが可能になります。リアルタイム検査は、全数検査を実現し、製造プロセスの効率化と品質維持に大きく貢献します。

印刷検査装置導入のメリット

検査精度の向上

印刷検査装置を導入することで、従来の目視検査では見逃されがちな微細な欠陥や不良を、高精度な画像処理技術によって検出できるようになります。人の目では判断が難しい色ムラ、ピンホール、異物混入、文字のカスレ、位置ズレなども、均一な品質基準に基づいて確実に識別します。これにより、検査員の熟練度による品質のばらつきがなくなり、製品全体の品質信頼性が飛躍的に向上します。

人的コストの削減

検査工程を自動化することで、検査員に依存していた作業を大幅に削減できます。これにより、人手不足が深刻化する製造現場において、限られた人員をより付加価値の高い業務に再配置することが可能になります。また、検査員の疲労による見落としや、長時間労働の負担も軽減され、結果として人件費の最適化と生産効率の向上に貢献します。

検査速度の向上

高速な画像処理と搬送システムを組み合わせた印刷検査装置は、生産ラインの速度を落とすことなく全数検査を実現します。これにより、タクトタイムを短縮し、生産性全体の向上に直結します。リアルタイムでの不良品検出が可能となるため、不良が発生した際に早期に原因を特定し、後工程での手戻りや廃棄ロスを最小限に抑えることができます。

印刷検査装置なら東京電子工業

印刷検査装置の導入を検討されている企業様にとって、信頼できるパートナー選びは重要です。東京電子工業は、長年の経験と高度な画像処理技術を活かし、お客様の多様なニーズに応える印刷検査装置を提供しています。高精度かつ高速な検査を実現する装置は、製品品質の向上と生産コストの削減に貢献し、多くの製造現場で高い評価を得ています。

まとめ

非破壊検査は、製品の品質と安全性を確保するために不可欠な技術です。超音波、放射線、目視など多岐にわたる検査方法は、製品を損傷することなく内部や表面の欠陥を検出し、生産ラインへの組み込みやリアルタイムでの品質管理を可能にします。これにより、不良品の流出防止、リコールリスクの低減、そして長期的なコスト削減に大きく貢献します。

特に、印刷分野における品質管理においては、本記事でも紹介した画像処理技術を用いた印刷検査装置が、非破壊検査の重要な役割を担っています。この装置は、人間の目では見逃しがちな微細な欠陥も高精度で検出し、検査精度の向上、人的コストの削減、検査速度の向上といった多大なメリットをもたらします。

しかし、これらのメリットを最大限に引き出すためには、自社の生産ラインや検査対象物、既存の機器に合わせた最適なシステムを導入することが不可欠です。

東京電子工業株式会社は、まさにこうした課題に応える「フルサポート提案」を強みとしています。同社は印刷検査装置において豊富な実績を持ち、お客様の生産ラインに合わせた「最適設計」を実現。開発・設計から製造、設置工事、導入後のアフターサポートまで一貫して自社で対応するため、セミオーダーメイドのカスタマイズにも柔軟に対応可能です。

高品質な製品供給と競争力強化を実現するための確かな一手として、非破壊検査(印刷検査)の導入をご検討の際は、ワンストップで最適なソリューションを提供する東京電子工業に相談してみてはいかがでしょうか。

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