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画像処理で外観検査を行うには?品質管理の精度を上げる方法を解説

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画像処理で外観検査を行うには?品質管理の精度を上げる方法を解説

製造業における品質管理において、外観検査の自動化・高精度化は重要な課題です。人の目による検査では、検査員の疲労や個人差によって品質にばらつきが生じることがあります。

画像処理技術を活用した外観検査システムは、こうした課題を解決し、検査精度の向上とコスト削減を同時に実現できます。本記事では、画像処理による外観検査の基本原理から導入のポイント、実際の活用例まで解説します。

 

画像処理による外観検査とは

画像処理による外観検査とは、デジタルカメラやセンサーで製品を撮影し、その画像をコンピュータで解析することで、製品の表面に存在する傷、汚れ、異物、変形、寸法異常、色ムラなどの欠陥を自動的に検出する技術です。これにより、人間の目視では見落としがちな微細な不良や、高速な生産ラインにおける全数検査が可能となり、品質管理の精度と効率を大幅に向上させることができます。

外観検査の重要性と課題

製品の品質を保証し、顧客からの信頼を得る上で、外観検査は極めて重要な工程です。特に製造業においては、製品の機能性だけでなく、見た目の美しさも消費者の購買意欲に大きく影響します。不良品が市場に出回れば、企業のブランドイメージ低下、クレーム発生、リコールといった重大な問題に発展する可能性が高まります。

しかし、従来の目視による外観検査には多くの課題があります。例えば、検査員の熟練度や体調によって判定基準にばらつきが生じやすく、長時間の作業は疲労による見落としのリスクを高めます。

また、高速で大量生産される製品の全数検査を目視で行うことは、人件費の増大と検査スピードの限界という課題を抱えていました。これらの課題を解決し、より客観的で安定した検査を実現するためには、画像処理技術の導入が不可欠となっています。

画像処理技術を用いた外観検査の仕組み

画像処理を用いた外観検査は、主に以下のステップで構成されます。

撮像(画像取得)

専用の産業用カメラ(CCDカメラやCMOSカメラなど)と適切な照明(リング照明、同軸落射照明、透過照明など)を用いて、検査対象となる製品を高解像度で撮影します。照明は欠陥を際立たせるために非常に重要です。

画像処理・解析

取得したデジタル画像をコンピュータに取り込み、専用の画像処理ソフトウェアを用いて解析します。この段階で、ノイズ除去、コントラスト強調、二値化、フィルタリングなどの処理が施され、欠陥の特徴が明確化されます。

特徴抽出・不良判定

解析された画像から、あらかじめ設定された良品データや基準値と比較し、傷、汚れ、異物、寸法のずれ、色の異常といった欠陥の特徴を抽出します。パターンマッチング、エッジ検出、色彩解析、近年ではAI(人工知能)や機械学習を用いたディープラーニングなどの技術が活用され、良品か不良品かを自動で判定します。

結果出力・対応

判定結果はシステムに記録され、不良品と判断された製品は自動で生産ラインから排除されたり、警告を発したりするなどの対応が取られます。

従来の目視検査との違い

画像処理による外観検査は、従来の目視検査と比較して多くの点で優位性を持っています。

検査精度と安定性

目視検査は検査員の経験や集中力に依存し、判定にばらつきが生じやすいですが、画像処理検査は客観的な数値データに基づいて判定するため、常に均一で高精度な検査が可能です。微細な欠陥も見逃しにくくなります。

検査スピード

高速カメラと高性能な画像処理システムにより、人間では追いつけないほどのスピードで連続的に製品を検査できます。これにより、生産ラインのボトルネックを解消し、生産性を向上させます。

コストと効率

初期投資は必要ですが、長期的に見れば人件費の削減に繋がり、24時間稼働も可能なため、大幅な効率化が期待できます。人手不足が深刻化する現代において、労働力確保の課題解決にも貢献します。

データ活用

検査結果がデジタルデータとして蓄積されるため、不良発生の原因分析や品質改善のためのデータ活用が容易になります。これにより、製造プロセスの最適化や不良率の低減に繋げることができます。

適用環境

人間が作業しにくい高温、低温、クリーンルームなどの特殊環境や危険な環境下でも、安定して検査を実施できます。

画像処理外観検査で検出できる不良の種類

画像処理を用いた外観検査は、製品の品質を左右する様々な不良を自動的かつ高精度に検出します。人間の目では見逃しがちな微細な欠陥から、製品の機能に直結する重要な異常まで、多岐にわたる不良タイプに対応可能です。ここでは、画像処理外観検査で具体的にどのような不良が検出できるのかを解説します。

表面欠陥の検出

製品の表面に現れる傷や汚れ、異物などは、外観品質を著しく低下させる要因です。画像処理外観検査では、これらの表面欠陥を高い精度で検出できます。

表面欠陥としては、以下のようなものがあります。

傷(スクラッチ)
打痕(へこみ、ディンプル)
異物付着(ホコリ、ゴミ、油汚れなど)
汚れ、シミ
サビ
亀裂(クラック)
欠け(チッピング)
バリ、カエリ
塗膜のムラ、剥がれ
気泡(ブツ、ピンホール)

寸法・形状の異常検出

製品が設計通りの寸法や形状を有しているかは、機能性や安全性に直結します。画像処理は、製品の幾何学的特徴を正確に測定し、異常を検出します。

寸法違い(長さ、幅、高さ、厚み、穴径など)
形状の歪み、変形
部品の欠損、一部の破損
部品の取り付け位置ずれ、穴の位置ずれ
角度の異常

色・濃度の異常検出

製品の色や濃度は、ブランドイメージや機能性、識別性において重要な要素です。画像処理外観検査は、色情報や輝度情報を解析し、これらの異常を検出します。

色ムラ、色違い(指定色からの乖離)
濃度不足、濃度過多
変色
異物の色(汚れなど)

印刷不良の検出

製品パッケージやラベル、基板などに施される印刷は、情報伝達やデザインの要です。画像処理は、印刷物の様々な不良を詳細に検査します。

印字かすれ、にじみ、潰れ
誤字、脱字
印刷の汚れ、異物混入
色ずれ(レジストレーション不良)
濃度ムラ
バーコード、QRコードの読み取り不良
文字・図形の欠け、ピンホール
文字・図形の歪み

画像処理外観検査の主要技術

画像処理を用いた外観検査には、様々な技術が活用されています。これらの技術を組み合わせることで、製品の品質を高度かつ安定的に検査することが可能になります。

パターンマッチング

パターンマッチングは、あらかじめ登録された「良品」の画像パターン(テンプレート)と、検査対象の画像パターンを比較し、その一致度を評価する技術です。部品の有無、位置ずれ、特定のマークの認識、異物の検出などに広く利用されます。

例えば、基板上の電子部品が正しい位置に実装されているか、ラベルが規定の場所に貼られているかといった検査に適しています。わずかなズレや欠損も数値化して検出できるため、高い精度で安定した検査が可能です。

エッジ検出

エッジ検出は、画像中の輝度値が急激に変化する箇所、つまり物体の輪郭や境界線を検出する技術です。この技術を用いることで、製品の形状、寸法、欠け、バリ、傷などを高精度に検出できます。

例えば、製品のサイズが規格内であるか、欠けや変形がないかといった検査に利用されます。SobelフィルタやCannyフィルタなどのアルゴリズムが代表的で、検出されたエッジ情報に基づいて、製品の異常を特定します。

色彩解析

色彩解析は、画像の色情報(色相、彩度、明度)を分析し、製品の色ムラ、変色、異物の色、印刷の色ずれなどを検出する技術です。RGB、HSVなどの色空間を用いて、検査対象の色を数値化し、基準値と比較することで異常を判別します。

例えば、塗装面のムラ、食品の焦げ付き、医薬品の変色、製品のロットごとの色差管理などに適用されます。人間の目では判別しにくい微妙な色の違いも、客観的なデータとして検出できる点が強みです。

AI・機械学習を活用した検査

近年、画像処理外観検査において最も注目されているのが、AI(人工知能)や機械学習、特に深層学習(ディープラーニング)を活用した検査技術です。この技術は、大量の良品画像と不良品画像を学習することで、人間では定義が難しい複雑な欠陥や、多様な形状の不良を自動で識別できるようになります。従来のルールベースの画像処理では困難だった、表面の微妙な傷、質感の異常、背景に溶け込むような微細な異物なども高精度に検出可能です。

学習データが豊富であればあるほど、検査精度は向上し、熟練者の判断に匹敵する、あるいはそれを超える検査能力を発揮します。

印刷検査装置導入のメリット

検査精度の向上と安定化

画像処理を用いた印刷検査装置は、目視検査では見落とされがちな微細な欠陥や、人による判断のばらつきを排除し、極めて高い精度で安定した検査を実現します。設定された客観的な基準に基づき、色ムラ、ピンホール、異物混入、文字の欠けなど、あらゆる不良を定量的に検出するため、製品品質の均一化と不良品の流出防止に大きく貢献します。

検査スピードの向上

高速なカメラと画像処理アルゴリズムを組み合わせることで、印刷検査装置は人間が目視で検査するよりも圧倒的に速いスピードで検査を完了させることができます。これにより、生産ラインのタクトタイム短縮や高速化に対応し、生産効率全体の向上に直結します。特に大量生産を行う現場では、検査速度の向上が生産能力のボトルネック解消に不可欠です。

人件費削減と生産性向上

印刷検査装置の導入は、検査工程の自動化を促進し、検査員の人員配置を最適化することを可能にします。これにより、人件費の削減に繋がり、同時に検査員の疲労による見落としリスクもなくなります。また、装置は24時間稼働が可能なため、生産ライン全体の稼働率と生産性を大幅に向上させ、より効率的な生産体制を確立することができます。

検査データの蓄積と品質分析

画像処理による印刷検査装置は、検出された不良の種類、発生位置、頻度などの詳細なデータをデジタル情報として自動で蓄積します。これらのデータは、品質管理部門での詳細な分析に活用でき、不良発生の原因特定や傾向把握、製造プロセスの改善に役立ちます。これにより、将来的な不良発生の予防や、より高度な品質改善活動を計画的に進めることが可能になります。

まとめ

現代の製造業において、製品の品質は企業の信頼と競争力を左右する極めて重要な要素です。従来の目視検査には限界がありましたが、本記事で解説した画像処理技術の活用により、この課題は克服されつつあります。

画像処理外観検査は、表面欠陥、寸法・形状異常、色・濃度異常、そして特に印刷不良など、多岐にわたる不良を瞬時に、かつ客観的に検出できる画期的なソリューションです。これにより、検査精度の飛躍的な向上、検査スピードの劇的な加速、人件費の削減といった具体的なメリットがもたらされます。さらに、検査データの蓄積は、品質改善のための貴重な分析材料となり、生産プロセスの最適化にも貢献します。

しかし、これらのメリットを最大限に引き出すには、自社の既存ラインや検査対象物に合わせた最適なシステム導入が不可欠です。

東京電子工業株式会社は、まさにこうしたニーズに応える検査システムの「フルサポート提案」を強みとしています。同社は、お客様の生産ラインに合わせた「最適設計」を得意とし、セミオーダーメイドでのカスタマイズに対応できます。開発・設計から製造、納品時の設置工事、立会い調整、さらには導入後のアフターサポートまで、すべてをワンストップで提供します。

特に高精度が求められる印刷検査装置をはじめ、工場内のあらゆる検査装置をトータルで提案・製作できる技術力があるため、複数の業者に依頼するわずらわしさもありません。

品質管理の精度を確実なものにしたい方は、ぜひ一度、東京電子工業にご相談ください。

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