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外観検査におけるキズの判定基準とは?JIS規格の基礎知識をわかりやすく解説

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外観検査におけるキズの判定基準とは?JIS規格の基礎知識をわかりやすく解説

製造業の品質管理において、もっとも頭を悩ませる課題の一つが「外観検査でのキズ判定」ではないでしょうか。

機能的には全く問題がない製品であっても、表面にわずかな擦り跡があるだけで「不良品」と見なされてしまうのが現代の厳しい品質基準です。

特に、食品や薬品のパッケージ、あるいは光沢のある蒸着紙などを扱う現場では、キズ一つがブランドイメージを大きく左右することもあります。

しかし、キズの判定は見る人の主観に左右されやすく、現場では「Aさんは合格と言ったのに、Bさんは不合格にした」といった混乱が起きがちです。

本記事では、判定のばらつきを抑えるためのヒントとして、JIS規格の考え方や実効性のある判定基準の作り方を解説します。

 

外観検査におけるキズ判定の難しさ

外観検査の中でも「キズ」の判定がとりわけ難しいのは、感覚的な要素が入り込みやすいからです。汚れや異物なら付着の有無で判断できますが、キズは「深さ」「長さ」「光の反射具合」によって見え方が大きく変わります。

曖昧になりやすいキズの定義

一口に「キズ」と言っても、製造工程でついた鋭利な引っかき傷もあれば、搬送中のこすれによる微細な曇りまで、その種類はさまざまです。

これらを全て一括りに「キズ」と定義してしまうと、現場の検査員は何を基準に合否を出せばよいのか迷ってしまいます。

「どの程度のものをキズと呼ぶのか」という共通認識が社内でズレていると、品質過剰(オーバークオリティ)によるコスト増を招く原因にもなりかねません。

判定に個人差が生じる原因

判定のばらつきは、検査員の視力や経験値だけでなく、検査環境にも大きく左右されます。

例えば、蛍光灯の真下で見るのと、少し斜めから光を当てて見るのとでは、キズの目立ち方は全く異なります。

ベテランの検査員は「この角度ならキズが見える」というコツを経験的に知っていますが、新人はどうしても見落としがちです。「検査のやり方」そのものが標準化されていないことが、個人差を生む根本的な要因といえます。

外観検査で対象となる主なキズの種類

基準を作る前に、まずは自社の製品でどのような不具合が起きやすいのかを整理しておきましょう。対象を分類することで、検査の焦点を絞りやすくなります。

線キズ・擦りキズ

最も一般的なのが、線状に伸びた引っかき傷や、広範囲に広がる擦り跡です。

これらは印刷面やコーティング層を削り取ってしまうため、パッケージの美観を大きく損ないます。

特にアルミ蒸着紙や光沢感の強い資材では光の反射によってキズが目立ちやすく、判定が難しくなりがちです。「何ミリ以上の長さがあれば不良とするのか」といった具体的な線引きが、現場の負担を減らす鍵となります。

打痕・へこみ

製品同士がぶつかったり、製造機械の一部が接触したりすることで生じるのが「打痕(だこん)」や「へこみ」です。

キズとは異なり表面に凹凸ができるため、影の入り方によって不自然な違和感を与えます。

パッケージの糊付け工程などで圧力がかかりすぎた際に発生することもあり、こうした立体的な変形は、真上からのカメラ検査では捉えにくいという特性も持っています。

検査装置を導入する際も、こうした「深さ」や「凹凸」をどう捉えるかがカスタマイズの重要なポイントになります。

JIS規格における外観検査の基礎知識

自社独自の基準を作る際の「ものさし」として活用したいのがJIS規格です。

完全に準拠する必要はありませんが、標準的な考え方を知っておくことは、取引先との交渉においても大きな武器となります。

JIS規格とは何か

JIS(日本産業規格)は、日本の産業製品に関する標準化を定めた国家規格です。

外観検査そのものに特化した万能な規格があるわけではありませんが、品質管理の進め方や抜き取り検査の方式(JIS Z 9015など)については明確なルールが定められています。

これらを参考にすることで、「なんとなく」決めていた検査体制に客観的な根拠を持たせることができます。

外観に関する主なJIS規格の考え方

外観検査に関連する規格の中には、製品表面の欠陥を「致命欠陥」「重欠陥」「軽欠陥」といったランクに分ける考え方が示されているものがあります。

例えば、薬品のパッケージであれば「文字が読めないキズ」は致命的ですが、「裏面の端にある微細な擦れ」は軽微なものとして扱う、といった具合です。

このように、キズの場所や程度によって重要度を分けるという考え方は、検査の効率化を図る上で非常に実用的です。

JIS規格を基準として活用するメリット

外部の規格をベースに基準を作る最大の利点は、取引先との「共通言語」が持てることです。

不具合品をめぐってトラブルになった際、自社独自の曖昧な基準だけで説明するのは難しいものです。

「JISのこの考え方に基づいて、これ以上のキズを不良と定義しています」と論理的に説明できれば、顧客からの信頼も得やすくなります。また、新しいラインの構築や検査の自動化を検討する際も、標準的な指標があることでシステム設計の要件定義がスムーズに進みます。

キズの判定基準を適切に設けるポイント

では、実際に現場で機能する基準を作るにはどうすればよいのでしょうか。

単に「厳しくする」のではなく、生産性と品質のバランスを取ることが求められます。

要求品質に合わせた許容範囲の設定

全てのキズをゼロにしようとすると歩留まりが悪化し、コストが際限なく膨らみます。重要なのは、その製品が最終的に誰の手元に届き、どのようなシーンで使われるのかを起点に考えることです。ギフト用の高級化粧品箱と輸送用の段ボールでは、許容されるキズのレベルが異なるのは当然です。
こうした用途や市場の要求を踏まえたうえで、「これ以下なら実用上問題ない」という許容範囲(AQL:合格品質水準)を戦略的に設定することが、品質とコストのバランスを保つ鍵となります。

面積や長さなど数値化による客観的な評価

「目立つキズはダメ」といった曖昧な表現を現場から一掃し、「長さ0.5mm以上、かつ幅0.1mm以上の線キズ」といった数値による定義に切り替えましょう。
最近の画像処理システムであればこうした微細な寸法も瞬時に計測できるため、数値基準との相性も抜群です。主観が入る余地が減ることで、検査員の判断負荷も大きく下がります。

限度見本の作成と適切な運用

数値化と並んで有効なツールが「限度見本」です。

「これより悪ければ不合格」という境界線上の実物を、常に検査員のそばに置いておきましょう。写真では伝わりにくいキズの深さや光り方も、実物があれば一目瞭然です。
ただし、見本自体が経年劣化で色あせたり汚れたりしては本末転倒です。定期的に新しいものと交換し、「今の正解」を現場に示し続ける運用体制を整えておくことが重要です。

定期的な基準の見直しと現場への共有

一度決めた基準が、永遠に最適であるとは限りません。

市場からのクレーム状況や、製造工程の改善具合に合わせて、基準は柔軟に見直していくべきものです。

「以前は合格だったものが、なぜ今はダメなのか」という疑問が現場に生まれないよう、変更の背景を丁寧に説明し、最新の情報を共有する文化を作っていくことが大切です。
検査装置を導入している場合は、ハードウェアの調整だけでなくソフトウェア側のパラメータも定期的に見直すことが大切です。それによって過検出を防ぎ、実態に即した検査精度を維持できます。

まとめ

外観検査におけるキズの判定基準作りに、完成形はありません。ただ、JIS規格などの客観的な指標を参考にしながら「数値化」と「標準化」を地道に進めることで、現場の混乱は着実に減っていきます。大切なのは、属人化された「ベテランの勘」を誰もが参照できる「組織のルール」へと落とし込んでいくことです。
その積み重ねがヒューマンエラーの削減につながり、やがては自動化への移行やライン全体の品質向上にもつながっていきます。

「基準を作って終わり」ではなく、現場の実態に合わせて見直し続ける姿勢こそが、長期的な品質安定の土台になります。本記事の考え方を参考に、自社の現場に最適なキズの判定基準を検討してみてください。

当社では、お客様の具体的な課題やニーズに合わせ、印刷物品質検査装置の開発・設計から設置・サポートまで一貫対応しており、最適なソリューションを提供いたします。まずは一度、ご相談ください。

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