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グラビア印刷のツーツー汚れを解消するには?原因と対策、ドクター調整を解説

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グラビア印刷のツーツー汚れを解消するには?原因と対策、ドクター調整を解説

グラビア印刷の現場において、多くのオペレーターを悩ませるトラブルのひとつが「ツーツー汚れ」です。製品の仕上がりを左右するこの筋状の汚れは、一度発生すると原因の特定が難しく、対応に追われて生産効率が落ちてしまうことも珍しくありません。

この記事では、ツーツー汚れが発生する仕組みから、具体的な原因、そしてすぐに実践できる対策やドクター調整のコツまでを詳しく解説していきます。

 

グラビア印刷における「ツーツー汚れ」とは?

グラビア印刷で発生する「ツーツー汚れ」とは、ドクターブレードが版の非画線部に付着したインキを完全に掻き取れず、残ったインキが印刷物に転写されてしまうことです。現場ではスジ汚れやドクタースジとも呼ばれます。印刷物の流れ方向に対して、まるで糸を引いたような細いインキの筋が現れます。

ツーツー汚れ発生の仕組み

ツーツー汚れが発生する直接的な原因は、版(シリンダー)の表面に残った余分なインキが、ドクターブレードによって完全に掻き取られずにすり抜けてしまうためです。

グラビア印刷では、インキに浸かった版が回転し、ドクターブレードが版表面の余分なインキを削ぎ落とします。その後、版の凹部(セル)に残ったインキだけがフィルムなどの基材に転移する仕組みとなっています。しかし、ドクターブレードの刃先と版の間にわずかな隙間が生じたり、微細な異物が挟まったりすると、その部分だけインキが掻き取られずに残ってしまいます。この残ったインキがそのまま線状に転移することで、ツーツー汚れが発生します。

他の印刷トラブルと見分けるポイント

ツーツー汚れは、印刷の進行方向に沿って現れる「細いスジ状の汚れ」です。このスジがドクターの左右動(オシレーション)に合わせて移動している場合は、版の故障ではなく、ドクターに異物が挟まっているなどで起きるツーツー汚れだと判断できます。一方で、スジ状の汚れではないものは、カブリなど別の印刷トラブルだと判断できます。

ツーツー汚れの主な原因

ツーツー汚れの正体は、ドクターブレードによる「掻き取り不良」です。では、なぜその不良が起きてしまうのでしょうか。ここでは、特に頻繁に見られる主な原因を深掘りして解説します。

ドクターの摩耗やセッティングの不備

最も頻繁に見られる原因は、ドクターブレードそのものに関わる問題です。ドクターブレードは金属製の薄い板であり、高速回転する版と常に接触しているため、時間の経過とともに摩耗していきます。摩耗が均一であれば問題ありませんが、局所的に刃先が欠けたり、摩耗によって刃先が鋭利になりすぎたりすると、インキを均一に抑え込むことができなくなります。

また、ドクターの角度が寝すぎていると、インキの油圧に負けて刃先が浮き上がりやすくなります。反対に、印圧が強すぎると刃先がたわんでしまい、かえって隙間を作ってしまうこともあります。これらの物理的なセッティングミスが、筋汚れを誘発する大きな要因です。

インキの粘度変化と異物の混入

グラビアインキは溶剤の蒸発により粘度が変化しやすい性質があります。粘度が高すぎるとドクターブレードで掻き取りにくくなり、非画線部にインキが残りやすくなります。逆に粘度が低すぎても、インキの流動性が高まりすぎてドクターをすり抜けやすくなり、ツーツー汚れを助長する原因となります。また、インキ中に乾燥インキのカス、紙粉、ホコリなどの異物が混入していると、それらがドクターブレードと版の間に挟まり、インキの掻き取りを阻害します。この状態になると、異物が通過した箇所に線状や点状のツーツー汚れが発生します。

版の表面状態やクロム層の劣化

グラビア版の表面には耐摩耗性を高めるためにクロムメッキが施されており、このクロム層に微細な傷がついたり、経年劣化で表面が荒れてきたりすると、そこにインキが溜まってツーツー汚れを発生させます。特に、製版時の研磨が不十分で「バリ」が残っている場合や、版の端(エッジ部分)の処理が甘い場合などは、ドクターブレードが早期に損傷しやすくなります。

静電気や温湿度などの環境要因

意外と見落としがちなのが、工場内の環境要因です。乾燥する冬場などは、静電気が発生して空気中のホコリをインキや版が吸い寄せてしまい、それがドクターに挟まって汚れを引き起こします。また、室温の変化によってインキの溶剤バランスが崩れ、乾きが早くなることで、ドクターの裏側にインキの乾燥カスが溜まりやすくなることもあります。環境による影響は、物理的な不備がないにもかかわらず突発的にトラブルが発生する原因となるため、日頃の湿度管理や除電対策が重要です。

対策とドクター調整のポイント

ツーツー汚れの根本的な解決には、原因に応じた適切な対策と、特にドクターブレードの精密な調整が重要です。ここでは、具体的な対策と調整のポイントを解説します。

角度・印圧・突き出し量

ドクター調整の三要素は「角度」「印圧」「突き出し量」です。これらを最適化することで、掻き取りの安定性は格段に向上します。

まず「角度」は、一般的には版の接線に対して55度から65度程度で当てるのが理想とされています。角度を適正に保つことで、インキを鋭く切り落とすことが可能です。ツーツー汚れが出やすい場合は、少しだけ角度を立てる方向で調整すると、ゴミを排出しやすくなり改善することがあります。

次は「印圧」です。汚れを消そうとして無理に圧力を上げすぎるのは禁物です。圧力が強すぎると、ドクターと版の摩擦熱でインキが乾きやすくなったり、刃先の摩耗を早めたりして逆効果になることがあります。「汚れが消える最小限の圧力」を見極めましょう。

最後に確認したいのが「突き出し量」です。出しすぎると刃先がしなってしまい、圧力が不安定になります。適度な剛性を保てる長さに設定してください。

オシレーションの動作

ドクターを左右に往復運動させる「オシレーション」は、ツーツー汚れ防止に非常に効果的です。同じ箇所にずっと刃が当たっていると、そこに微細なゴミが溜まりやすくなります。左右に動かすことで、挟まりかけたゴミを逃がし、刃先の摩耗を均一にすることも可能です。オシレーションのストロークが短すぎたり、速度が遅すぎたりしないか、日常的に点検する習慣をつけましょう。

もし印刷物に発生した線がオシレーションに合わせて左右に動いているなら、「ドクターにゴミが挟まっている」という明確なサインです。この場合は、ドクターの清掃やインキのろ過を優先的に行うべきだと判断できます。

インキの粘度とろ過

インキの状態管理はツーツー汚れ対策の基本です。「粘度を一定に保つこと」と「異物を取り除くこと」を意識します。自動粘度コントローラーを使用している場合でも、定期的にザーンカップなどを用いて手動計測を行い、精度を確認することが推奨されます。粘度が高くなると掻き取り不良だけでなく、ドクターの摩耗も早めるため、適切な溶剤補給を怠らないようにしましょう。

また、インキ循環経路の中に強力なマグネットフィルターや、細かいメッシュのストレーナー(ろ過網)を設置することは非常に有効です。これにより、ドクターに悪影響を与える金属粉や乾燥カスを事前にキャッチできます。ろ過精度の高いフィルターを使用することで、突発的なツーツー汚れを未然に防ぐことが可能になります。

日常の清掃と部品交換

日々のメンテナンスという基本に立ち返ることも重要です。ドクターホルダーの周辺に、乾燥したインキが固着していませんか。この固まったインキが剥がれ落ちてドクターの刃先に回るケースは非常に多いです。版替えのタイミングはもちろん、長時間の運転中であっても休憩時間などを利用して、ドクター周りを丁寧に清掃するだけで、トラブルの発生率は劇的に下がります。

また、ドクターブレードを「まだ使えるから」と限界まで使い続けるのは、結果的に印刷ロスを増やしてコスト増につながります。刃先の状態を顕微鏡などでチェックする習慣をつけ、摩耗が進む前に新品へ交換する基準を設けることが大切です。

まとめ

グラビア印刷におけるツーツー汚れは、ドクターブレードの調整、インキの管理、版の状態、そして作業環境といった複数の要因が複雑に絡み合って発生します。解決のためには、焦って場当たり的な調整をするのではなく、今回ご紹介したような項目を一つずつ丁寧に確認し、原因を特定していくことが大切です。

当社では、グラビア印刷におけるツーツー汚れをはじめとした、さまざまな印刷品質問題を解決するため、印刷物品質検査装置の開発/設計から、設置、サポートまで一貫対応しております。お客様の問題点に合わせた検査装置の設計も可能です。お困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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